
中小企業の経営者の方、日々の業務に追われる担当者の方、そして新しい挑戦を続ける個人事業主の皆様。
もしかしたら、あなたもこのようにGeminiに話しかけ、企画書のアイデアを出してもらったり、メールの文面を考えてもらったりしているかもしれませんね。
しかし、もしGeminiを「文章で対話するだけのAI」だと思っているとしたら、それは非常にもったいないことです。
実は、いつも使っているGeminiのチャット入力欄の下や横に、「画像」や「動画(YouTube)」を扱える機能が隠れていることにお気づきでしょうか?(※2025年8月6日時点。インターフェースは更新されることがあります)
「AIに画像を見せる?動画を分析させる?なんだか難しそう…」
そう感じた方もご安心ください。
この記事では、専門知識は一切不要で、今日からすぐに使えるGeminiの「マルチモーダル機能」について、具体的なビジネスシーンでの活用法を交えながら、どこよりも分かりやすく解説します。
1. 「見るAI」の実力は?Geminiの画像認識・生成機能

まずご紹介するのが、最も直感的に使える「画像」に関する機能です。
これには大きく分けて2つの使い方があります。
- 画像認識: こちらから画像をアップロードして、Geminiに「見せて」分析や質問をする。
- 画像生成: 言葉で指示して、Geminiにオリジナルの画像を「作らせる」。
それぞれ、どのようなビジネスシーンで役立つのか見ていきましょう。
1-1. 【画像認識】資料作成から現場作業まで!Geminiの"目"が業務を変える
これは、Geminiが「目」を持つ機能、と考えると分かりやすいかもしれません。
専門的には「マルチモーダルAI」と呼ばれますが、覚える必要はありません。
「AIに画像を見せて質問できるんだな」という認識で十分です。
チャット入力欄にあるクリップマーク(📎)やプラスマーク(+)画像アイコンから、お使いのPCやスマートフォンにある画像をアップロードするだけで使えます。
活用例1:面倒な資料作成をスピードアップ!
会議で使うグラフや、他社が発表した市場調査の図。
これらをスクリーンショットしてGeminiにアップロードし、こう聞いてみましょう。
【プロンプト例】
「このグラフから読み取れる重要なポイントを3つ、箇条書きで教えてください。特に、2023年以降の伸びについて詳しく解説して。」
【できること】
- データ分析: グラフの傾向、特徴、異常値などを瞬時に読み取り、テキストで要約してくれます。
- プレゼン構成案作成: 複数の図表をアップロードし、「これらの情報を使って、新サービスの必要性を訴えるプレゼンの構成案を作って」と頼めば、説得力のあるストーリーラインを提案してくれます。
もう、複雑なグラフを睨みながら頭を悩ませる必要はありません。
Geminiという優秀なアシスタントが、あなたの代わりにデータを読み解いてくれるのです。
活用例2:デザインや広告の改善点が見つかる!
自社のウェブサイトや、新しく出稿する広告のデザイン。
客観的な意見が欲しいけれど、周りには聞きづらい…そんな時にもGeminiは活躍します。
【プロンプト例】
「このウェブサイトのトップページの画像です。ユーザーがもっと問い合わせをしたくなるようにするには、どこを改善すれば良いですか?デザインの専門家の視点で、具体的な改善案を5つ提案してください。」
【できること】
- デザインレビュー: 配色、レイアウト、文字の視認性など、デザインの原則に基づいて改善点を指摘してくれます。
- 競合分析: 競合他社の広告画像をアップロードし、「この広告がターゲットに響く理由を分析して」と頼めば、そのクリエイティブの意図や優れた点を分析してくれます。
活用例3:現場作業やバックオフィス業務の「困った」を解決!
この機能は、オフィスワーク以外でも真価を発揮します。
- 製造・建設業: 「この部品の名前と型番が知りたい」「この機械のエラー表示の意味は?」といった質問に、画像から推測して答えてくれます。(※必ずダブルチェックは必要です)
- 事務・経理: 領収書の画像をアップロードし、「この領収書の日付、金額、支払先、品目を表形式で書き出して」と指示すれば、データ入力の手間を大幅に削減できます。(※機密情報の取り扱いには十分ご注意ください)
1-2. 【画像生成】もう素材探しに困らない!アイデアを"形"にする魔法
次に、言葉(プロンプト)で指示するだけで、AIが世界に一つだけの画像を生成してくれる機能です。
Googleの最新画像生成AI「Imagen 3」がGeminiに搭載され、非常に高品質な画像を誰でも簡単に作れるようになりました。
活用例1:資料やブログの「ちょうど良い」挿絵を瞬時に作成
「再生可能エネルギーに関するプレゼン資料に、未来的なクリーンエネルギー社会をイメージしたイラストを入れたい…」
フリー素材サイトで探しても、なかなかピンとくる画像が見つからないことはありませんか?そんな時は、Geminiに頼んでみましょう。
【プロンプト例】 「未来の都市。背景には風力タービンとソーラーパネルが設置されている。クリーンで明るい雰囲気のイラストを生成して。」
【できること】
- プレゼン資料の質向上: 文章だけでは伝わりにくい内容も、イメージに合ったイラストを添えることで、聞き手の理解度と満足度が格段に上がります。
- ブログ・SNS投稿の差別化: オリジナルの画像を生成することで、他とは違うユニークなコンテンツを作成でき、読者の目を引きます。
活用例2:広告クリエイティブのアイデア出しを無限に
新しい広告キャンペーンのバナー画像。どんなデザインが良いか、アイデアが煮詰まってしまうこともあります。
【プロンプト例】 「30代女性向けの新しいオーガニックスキンケア商品の広告バナー。みずみずしい植物と透明感のあるデザインで、高級感が感じられるものをいくつかパターン生成して。」
【できること】
- アイデアの壁打ち: 自分では思いつかなかったような、多様なデザインパターンをAIが提案してくれます。それを元に、デザイナーと具体的なイメージをすり合わせることで、制作がスムーズに進みます。
- ABテストの実施: 複数のデザイン案を低コストで作成し、実際に広告を出稿して、どのデザインが最も効果的かをテストすることも容易になります。
2. 長い動画も一瞬で理解!GeminiのYouTube動画要約機能

次に紹介するのは「動画」に関する機能です。現在のGeminiは、自ら動画を生成することはできませんが、YouTube動画の内容を分析し、要約するという驚くべき能力を持っています。
使い方は簡単。分析したいYouTube動画のURLをコピーし、Geminiのチャット欄に貼り付けて質問するだけです。
これがめちゃくちゃ便利で、時短になります。
活用例1:市場調査や情報収集が劇的に効率化!
業界の最新動向を知るために、専門家の講演会や海外のセミナー動画をチェックしたい。
しかし、1時間以上の動画を見る時間はない…。
そんな悩みを解決します。
【プロンプト例】 (動画のURLを貼り付けて) 「この動画で語られている、2026年のAI市場に関する最も重要な予測を5つ教えてください。また、その結論に至った理由も要約して。」
【できること】
- 時短学習: 長時間の動画の要点だけを抽出してくれるので、情報収集の時間を1/10以下に短縮できます。
- 言語の壁を超える: 海外の動画であっても、Geminiが内容を日本語で要約してくれます。グローバルな情報収集が、誰でも簡単に行えるようになります。
- 文字起こし: 「この動画の〇分〇秒からの部分を文字起こしして」と頼めば、特定の部分のテキストデータを作成してくれます。議事録作成や引用資料の作成に非常に便利です。
活用例2:競合分析や顧客の声の収集に
競合他社が公開した新製品のレビュー動画や、自社製品について語られているYouTuberの動画。これらは、顧客の生の声が詰まった宝の山です。
【プロンプト例】 (動画のURLを貼り付けて) 「この製品レビュー動画で、レビュアーが最も評価している点と、不満に感じている点をそれぞれ3つずつ抜き出してください。」
【できること】
- 顧客インサイトの発見: 多くのレビュー動画をGeminiに分析させることで、顧客が本当に求めている機能や、改善すべき点などを客観的に把握できます。
- マーケティング施策のヒント: 顧客がどのような言葉で製品を評価しているかを知ることは、今後の広告やプロモーションのキャッチコピーを考える上で大きなヒントになります。
3. 未来の機能?「Canvas」の正体とこれからのAI活用
テキストやコードの作成・編集をリアルタイムで共同作業できるインタラクティブなスペースです。
具体的には、以下の点が特徴です。
- リアルタイム共同編集:Gemini が生成したテキストやコードを、表示された画面上で直接編集・修正できます。変更内容はリアルタイムに反映されるため、まるでGeminiと共同で作業しているような感覚で、アイデアを形にできます。
- テキストとコードの両方に対応:文章だけでなく、コードの作成や編集も可能です。HTML、CSS、Pythonなど、様々なコードに対応しており、プログラミングのアイデアをプロトタイプに変換するプロセスを効率化できます。
- プレビュー機能:コードの実行結果をプレビュー画面で確認しながら、リアルタイムで修正指示を出すことができます。これにより、エディタやブラウザを行き来する手間を省き、効率的に開発を進められます。
- アイデア出しから共有まで:Canvas上でアイデアを出し合い、文章やコードを完成させ、そのまま共有することも可能です。
Canvasは、ドキュメント作成、コード開発、アイデア出しなど、様々な用途で活用できます。
例えば、以下のような使い方が考えられます。
- ドキュメント作成:高品質な初稿を生成し、トーンや構成を調整したり、文章の一部を修正したり、要約を生成したりできます。
- コーディング:コードを生成し、プレビュー画面で動作を確認しながら、リアルタイムで修正や改善を指示できます。
- アイデア出し:Geminiと対話しながら、アイデアをまとめ、文章やコードとして形にできます。
まとめ:AIは"対話"から"協働"のパートナーへ
今回は、普段あまり注目されていなかったかもしれないGeminiの「画像」と「動画」に関する機能をご紹介しました。
- 画像認識で、資料分析やデザインレビューが効率化できる。
- 画像生成で、オリジナルのクリエイティブが誰でも作れる。
- 動画要約で、圧倒的な時短での情報収集が可能になる。
これらの機能は、決して専門家だけのものではありません。
しろ、人手が限られる中小企業や、多様な業務を一人でこなす個人事業主の方にこそ、その真価を発揮するツールです。
「AIは難しそう」という先入観は、一旦横に置いてみましょう。
まずは、あなたのスマートフォンに入っている風景写真や、お昼に食べたランチの写真を見せて、Geminiに「これは何?」と話しかけてみてください。
あるいは、気になるYouTube動画のURLを貼り付けて、「3行で要約して」と頼んでみてください。
その小さな一歩が、あなたのビジネスを大きく飛躍させるきっかけになるかもしれません。
Geminiは、単なる「物知りな対話相手」から、あなたの仕事を共に進める「頼れる協働パートナー」へと進化しているのです。